おと。

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いつまでも降り止まない雨。
其れを部屋で眺める。
急に降ってきた雨なのか、走っている人がいる。
その中に僕の友達がいた。
彼奴は僕の家を知っている。
嫌な予感が頭をよぎった。
と思ったら運悪く目が合ってしまった。
最悪だ…。
僕がいるのを確認するとインターホンを鳴らした。
「はぁ…」
仕方無く部屋を出て、階段を降り、玄関の扉を開けた。
が、いなかった。
扉を奥まで開いた。
「ウグッ!……何すんのさ!」
「驚かそうとしてた奴が何言ってんだ?」
「バレてたの〜、つまんない」
…屑が。
「でっ?用は其れだけか?じゃあな」
そう言って扉を閉めようとした。
「ちょっと!この雨の中、傘もせず帰れっての!?」
「あぁ、そうだが、それが?」
「あのね〜、私…」
「鍵を無くして家に入れないし、親も仕事で呼べない、だろ?」
「よく分かっているじゃないか」
雨も強くなってきてるしこんな中で帰らせたらこいつは絶対に風邪をひく。はぁ…、仕方無い。
「ほら、上がれよ」
「さっすが〜!」
「先風呂場いけよ?絶対に!!!」
「はいはい」
当たり前というように風呂場に行った。
ったく、本当に変わんねぇな。
外を見ないで寝てれば良かった。
そんなことを考えていると、風呂場から彼奴が帰って来て、窓から雨を見ていた僕に言った。
「いつまで経っても降り止まない雨を見てるよりも、私と話している方が楽しいだろう?」
「それ、自分で言っていいのか?」
否定はできなくはない…、けど。
「でも、実際はそうでしょ?本当は誰よりも私と話している時間が好きなんでしょ?」
自信家で、性格が屑で、人の話を聞こうとしない癖に、こういうときだけ、観察眼が働く友達を持つと大変だ。
はぁ、本当に最悪だ。
「うん、君なんかと話している時間が一番楽しいよ」
「なんかって、酷いなぁ」
そう言いながら、やはり当たり前のようにソファに座りくつろいでいた。……殴りてぇ。
「ねぇ、私はねそういうところとかで優しくしてくれる君が________。」
急に雷が鳴った。
其のせいで最後まで声が聞こえなかった。
「んっ?なんか言ったか?」
「はぁ〜、チビ」
「今すぐ外に出されたいか?」
「ウソデスゴメンナサイ」
暫く、言い合いが続いていた。
雨で気分が沈まないのかと聞かれたら僕は沈まないと、答えるだろうな。
だって、こうやって話しているだけでもたのしい友達がいるから。

いつまでも降り止まない雨の中、僕らは家で話していた

#13

5/25/2023, 12:28:07 PM