君と出逢って、初めて命の重さと軽さを知った。
こんな手のひらに収まる小ささで、ちゃんと絶え間なく鼓動し続ける臓器を持ち、スースー鼻息を鳴らす君を、守りたいと思った。
君と出逢って、自由に動けない不便さを知った
私以外の誰も君の世話をできない以上、必ず私が帰らねばならない。友達と遊んで朝帰りとか旅行とか論外。仕事から早く帰ったなら、ご飯とおやつ、トイレの掃除に毛づくろい。狩りごっこに付き合ったり、イタズラしないか監視したり、やることは尽きない。正直、怠けたい日もあったけど、君には私しかいないのだと思えば何とでもなった。
君と出逢って、学ぶことが増えた。
君に食べさせてはいけないもの。君が最適だと感じる気温。毛づくろい、爪切り、お風呂の頻度。毛玉を吐き出すために頻繁に吐くが、病気ではないこと。環境の変化がストレスになること。君と一緒に暮らすために、どの程度のお金が必要か。万が一の時は、どこの動物病院なら夜間診療しているか。
知らないことだらけだったから、調べて、少しずつ知っていった。少しでも長く、君と一緒に過ごせるように。
君と出逢って、君がどんな子か、日々、新たな発見があることに気づいた。
小さい頃は好奇心旺盛のおてんば。どこでもクンクン嗅ぎ回って、よじ登ってチョロチョロ動き回るから、変な物を食べないか、危ないものに触れないか気が気じゃなかった。
少し大きくなったら、遊ぶのも走り回るのも大好きに。かと思えば徐々にビビりに。大きな音や少しの揺れにも敏感になる。家の外に少しでも連れ出そうものなら、悲痛な鳴き声を上げて『早く家に帰ろうよ!』と訴えてきた。家を安心できる場所と認識してくれたのだと解釈したけど、当たってたのだろうか?
最近は歳も重ねて、ゆったりくつろいでいることが増えた。私の足にすり寄って甘えたり、鳴いて私を呼びに来たり、膝の上に乗せて撫でるとゴロゴロ鳴いて気持ちよさそうな顔をするようになった。子どもの頃より表情が豊かになったと思う。毎日、新しい表情を発見しては、私は君の頭を撫でくりまわしてる。
私は、
君と出逢って、私は、臆病になった。
いつか、君とお別れする日が来る。それは、必ずあることだし避けられない。分かってる。分かってるけど。君の温もりに慣れきった私には、君とのお別れは辛くて、悲しくて、想像するだけで足がすくむ。君がいなくなった世界で、明日をどうやって生きたら良いのか、きっと私は分からなくなって途方に暮れる。君が当たり前に側に居た世界から、ある日、君だけがスッポリと抜け落ち、あたかも君が最初から存在していなかったかのように、世界は変わりなく回り続ける。それが心底、恐ろしい。私だけ、君の影を、残り香を、僅かに残された温もりを、世界の狭間で見つけてはすすり泣くのだろう。
立ち直れる保証など、どこにもない。別れの日を思って、私は毎日、恐怖と戦う。きっと君と出逢わなければ、知らなくて済んだ恐怖や悲しみだろう。
それでも。
それでも、きっと。
君と出逢って、私は幸せだったよと
出逢ってくれて、ありがとうと
天国で再会したら君を抱きしめて
私は言うのだろう
最愛の我が子
愛しい子よ、君を心から愛してる
お題『君と出逢って、』
愛猫へのラブレターです
5/5/2026, 12:51:41 PM