帝のおわす花の都、京の春は短い。 無情にも移ろう庭を、わたしは御簾越しに眺めた。 梅は零れ、桜は散り、牡丹は崩れる。蓮は眠る。梔は緑のあいまに口をつぐみ、桔梗は細い首をゆらめかせる。かたくなに菫の襲ばかりをまとうわたしを、あざ笑うかのように。 やがて来たる秋の気配は、容赦なくわたしを苛んだ。 かなしかった。
7/23/2023, 1:54:10 PM