小学校の2年生の時の話。
既に朝ギリギリ登校を習慣化していた私は
その日もチャイムと同時に教室に飛び込んだ。
もうほとんどが大人しく着席していたが
ただいつもはクソ騒がしいのに、その日は妙に静かだった。
とりあえず自分の席について前を向いて気がついた。
黒板に上方向の大きな矢印が描いてあり
その下の片側に私の名前が書いてあった。
もう片方は何か書いてあったが消したあとがある。
多分隣に名前を書かれた子が自分の名前だけ消したんだろう。
笑い声はなかった。
私が来る前にクラスでひと悶着でもあったんだろうか。
ほどなく教室に入ってきた先生は
何の反応もせず無言でそれらを消して朝礼を始めた。
相合傘のテーマを目にして、すっかり忘れてた
あの黒板が、ふとよみがえった。
そうか。いまだに独り身なのは、片側空欄で消された
あの時の相合傘の呪いのせいに違いない。
(相合傘)
6/20/2024, 7:42:05 AM