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「失われた長い時間」

中学生は、初詣に来ていました。
勿論、お母さんと一緒です。

「絵馬にお願い事書くよー。
 子供の学力がうーんと伸びますように」

中学生は
「普通の中学生の生活を送りたい」
と、書こうとしていました。

「勿論、頭が良くなる願い事よね?」
と、お母さんが口を挟み、
中学生の絵馬を勝手に書き換えてしまいました。

「これでヨシ!
 成績が上がりますようにってお祈りしよ」
お母さんは絵馬を奉納所に飾り、
中学生とお祈りしました。


中学生は「トイレに行く」と言い、
お母さんから離れました。

中学生はトイレから出て、
お母さんの所に戻ろうとすると、
大きな絵馬を見つけました。
絵馬には沢山の願い事が書き込まれていました。

「君も大絵馬に書こうとしてるのかい?」
神主さんが中学生を見て言いました。
「その大絵馬は自由に書き込んで良いものだよ」
「何でも良いんですか?」
「ちゃんと願い事を書いてくれよ」
神主さんはジョークを交えて言いました。

「よーし、本当の願い事を書こう」
中学生は「普通の中学生の生活を送りたい」
と、書きました。

今年はどんな年になるんだろう?
やっぱり勉強ばっかりの毎日になるのかな?
中学生らしい事何もやってない…
ずっと、小学校の勉強ばっか。
何か楽しい事無いかな?

「ちょっと、こんな所に居たの?
 トイレが終わったんだったら早く来なさい」
中学生はお母さんの所に戻りました。

10/25/2021, 2:32:56 PM