二人の間に沈黙が流れる…
「本当に…なんで…なんで…こんなことしたの?」
妻が怒りを押しこらえるように僕につぶやく……
「本当に悪いと思ってるよ…」
そう言うと堪えきれなくなった妻は、「貴方にはもうついていけない!」と言い僕に1枚の紙切れと隣の部屋で寝ている娘を置いて、出ていった…
あぁ僕はなんて…なんて…馬鹿なんだろうか…
妻がいいるというのに……「優里花がどんなに、歳をとったとしてもずっっと幸せにする!!」なんて馬鹿みたいなことも言ったのに……会社の女性と付き合って、二股をして……裏切られて…
ほんとに馬鹿だ……でも…もし…許してくれたら…そう思って僕は家に鍵をかけて、妻を追いかけた…許してくれる訳でもないのに…必死に必死に妻を追いかけた…汗を拭いながら走った…許してくれなくてもいいから彼女に謝りたかった…
しばらくすると妻らしき女性が駅に入っていくのが見えた
……息を整えて彼女に近づく、「優里花!!」彼女は僕の声を聞いて振り返った…「この人…旦那さん?」妻の隣には20歳くらいの男性が立っていた…
「もしかして…優里花も…なのか?」
彼女は戸惑いながらこう答えた
「うん…10年くらい付き合ってる」
「10年って僕たちが結婚したての頃…じゃないか…」
…2人の間に沈黙が流れる…
そんな…そんな…妻も僕を裏切っていたのか……
僕はその場を走り去った…妻をおいかける時よりも速かったと思う…走って…走って…走った…いつの間にか知らない通りに入って…小さな公園に着いた……その公園にはとても綺麗な女性が立っていた……
その女性は僕を見て「え?…大丈夫ですか?」と言った…僕はその女性の反応にとても驚いたと同時に僕の頬を伝う温かいものにも驚いた…僕は泣いていたのだ……他人の彼女に心配をさせたくなくて、「大丈夫です…」とつぶやいた…
それでも彼女は心配そうに「よったら…話…聞きます…」と言った…僕は彼女の言葉に甘えてこれまでのことを全部話した……
「あはは…ってすみません、二人共最低ですね!!」
僕はそう言いながら笑う彼女に思わず口元が緩んだ…
「wそれホロ−出来てませんww」
「wwすみません〜…でもまぁそれじゃぁこれから父子家庭って言うことですよねぇ~」
彼女はそう言いながら僕の顔をのぞき込んだ…
「まぁそういうことですね…僕があの子を育てられるのか…こんな最低な父親…」
僕がそう言うと彼女の顔は急に暗くなった…
「……まぁそれも人生ですよね…それも経験ですよ…私ね、さっき彼氏に振られたんですよ…お前といると面白くないって…しかも私の親友と浮気してて…あははっ笑えますよね…ずっと愛していた彼が幼い頃からずっと仲が良かった親友と二股してただなんて…」
「すみません…そんな状況でこんな…こんな話をしてしまって…」
「あっいえいえ~私こそこんな湿っぽい話しして…」
二人の間に沈黙が流れる…妻の時の沈黙とは違いとても温かかった…
…3年後…
妻とはあのあとすぐ離婚届けを出して離婚した…今はもうあの夜の小さな公園で会った彼女…真莉と娘の沙耶香と3人で暮らしている…僕は桜の舞う季節に彼女に求婚した…
彼女はとても喜んでくれた…しかし
真莉は僕との結婚に条件をつけて結婚すると言った………
それは僕も賛成意見だった…その条件は…
(これからもずっとずっと一緒だよ)
「ねぇ優里花姉さん…なんで…なんであんな事言ったの?」いとこの陸人が真剣な眼差しで私に聞いてくる…
「…ごめんね…陸人まで…巻き込んじゃって…でも…ああするしかほかになかったの…私には…私には…彰は勿体無かったの……あれでいいのよ…あれで…」
春の暖かい風が吹く…私の頬は涙で濡れていた…
4/8/2023, 1:54:59 PM