M氏:創作:短編小説

Open App

「やりたい事ですかァ」

少しばかり長いショートカットの少年に問かければ特徴的な話し方で聞き返される。
そんな所に神経なんて無いだろうに…ゆらゆらと揺れるアホ毛は彼が悩んでるのを表していた

「あんまりパッと思いつきませんねェ。やらなきゃいけない事なら山積みなんですけども…」

少しばかり広く感じる部屋
大柄な人間が寝転がれば埋まってしまう大きさのソファ
その前に置かれたテーブルに大量の書類
未だあどけなささえ感じる少年が捌くには多いのではと感じざるを得ないソレをチラリと見ては軽く息をつく彼

「今やりたい事…ン〜…とりあえずコレ終わらせてご飯食べたいです、お腹すきましたし」

箸の持ち方も上手くない彼に教養は感じられない
だがペンの持ち方は酷く綺麗に感じた
じっくり考えて出した答えは“やりたい事”を問われた際に出すものとしては物足りないと受け取れる
だが本当にそれしか無かったのだろう
キュルル…なんて小さく鳴く腹の虫がゆったりとしたパーカーから聞こえるから


題名:やりたいこと
作者:M氏
出演:🎗


【あとがき】
一言に“やりたいこと”を問われた時って上手く思い浮かびませんね
少なくともM氏はそう感じます
老後を考えるには若いですし
無謀に語るには大人ですし
身の程を知ったようなものしかあげられませんね
出演してくれた少年のように空腹を満たしたいとか
眠いから寝たいとか
絵を描きたいとか
誰かを抱き締めたいとか
誰かに抱き締められたいとか
最後2つに関しては身の程知らずですね

6/10/2023, 5:24:27 PM