それは雨の日の出来事でした。
娘の雫が半べそかきながら部屋に入って来たのです。気になった私は声をかけてみました。
「どうしたの?」
「いたいの」
「どこが痛いの?」
「あし...」
話を聞くとどうも部屋の中で遊びまわっていた雫は勢いのあまりタンスの角で足の小指をぶつけたらしい。
それは痛い。
「だっこ...」
雫は腕を広げておんぶを要求してきた。慰めてほしいのだろう。娘を抱えた私は椅子に座りスマホを取り出した。
「もうすぐ晴れるみたいだよ。そしたらお外行こうか」
「うん」
外で遊べると聞いて雫の表情が晴れたみたいだ。
それから少し時間がたち、外の様子を窓から覗いた。若干曇り気味ではあるが太陽の光が眩しくなってきた。
「雫、雨が上がったよ」
「おそといきたい!」
「じゃあ準備しようね」
「うん!!」
こちらの曇も今は晴れやかになっていた。...のはずだった。
ゴツンッ!!
部屋の入り口で鈍い音が聞こえてきた。外は晴れてきてもこちらはまた雨がぶり返しそうだ。
「うわああああああん!!!」
12/1/2022, 4:12:12 AM