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【お題】煌めき

「下校途中で君と寄り道をした時の夕焼け一生忘れないよ…」ふと君がそう言っていたのを思い出した
あの時はみんなが輝いてて楽しかったな
ただ、そう思った所で今いる劣悪な環境は変わらない
落とし落とされ貶され騙され裏切られ、たった30人程の関係でここまで荒れるのかと考えながら今日もかつての友達だった君を見ている。今の君はくだらない自尊心とプライドで外側を固めたハードグミのような食感の悪さを放つ人間になってしまったね。
ただあの子がこうなってしまったのはなにか原因があるのかもしれないな
何とかして昔の輝きを取り戻せないものか?
そんな事を考えていたら3時限目のチャイムがなり、 クラスに先生が入ってきた。
「数学初めまーす」
(数学教師の小荒井先生だ…苦手なんだよな)
小荒井先生は男子に厳しく、ちょうどその時教卓に座っていたかつての友達がこれまでかという声の大きさで注意される。教室が一気に静まり返る
この時僕は少しドキドキしていた。
(堕ちてしまったあの子はどう言い返すのかな?)
そう思い、耳を澄ませる
「そんなん知らねえよ!教卓は俺が使ってるんだからお前は床で授業しろよ!!!」
自己中な彼の言葉に僕は一喝された気分になった
今まで他人中心で生活していた僕にとって、この言葉は目が痛くなる程の煌めきを纏っていた。
本当に気持ち悪い人間はあの子じゃなくて僕じゃないか?
そんな考えが頭を埋めつくし、自分という存在が嫌になってくる
ふと僕は思った。あの子のような人間になってみたら何か変われるかもしれないと
「自分を変えよう、新しい視界で物事を見てみよう」
僕はいつの間にかそう思ってしまっていた

今日からあの子は僕にとっての害悪な人ではなく
僕だけに煌めく光になった。



9/4/2023, 3:16:18 PM