ボクはひどく疲れていた。
仕事もプライベートもうまくいかず、この世界から逃げ出してしまいそうな衝動を抱え、限界を迎えていた。
……きっと、ボクが居なくなっても誰も困らないだろうな。
そう呟いて、ため息をつきながら下を向いて歩く。もう、どうでもいいや。
ふとしたときに、足元に紙のようなモノがまとわりついた。
誰かの落とし物だろうか。思わず拾うと、それは映画の半券チケットだった。
思わず顔を上げると、目の前には映画館があり、たくさんのポスターが張り巡らされている。
……そういえば、最近は忙しくて映画を見てなかったな。
たまにはこういうのも悪くないな。
ボクはチケットを握りしめ、映画館の入り口へと歩き出した。
2/27/2023, 5:03:25 PM