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私は、今日も家に引きこもっていた。

足が骨折してから2ヶ月近く経とうとしているが、外の世界を堪能するのはほんのひと握りでしかない。

それは、週に4日だけ学校へ登下校できるものだった。

いつもなら、電車で通えばいいのだが足のことがあって、母の車に送り迎えしてもらって、学校へ向かっている。

たまに、左足が使えないという不自由さにもどかしさを感じることもあったが、学校へ登下校するたび街の明かりを目にすることがある。

それは、私の知らない街並みだった。

例えば、太陽が海に沈む時にやがて訪れる、点灯時間。
この時間が訪れると、電柱やお店の建物、人の住まいである家などに光が宿る。

日は闇へ眠るが、光は日の代わりをしてくれる。

そのきらめきは、私の心を照らしてくれるのだ。

身体の不自由さに苦しみ、泣くこともあったが希望を捨てるなと街並みは応援してくれている。

それは、アイドルがつらい時にファンが輝かせるペンライトのようなもの。

それと構図が似ているなと、私はつくづく思う。

だけど、私だけではない。みんな、ここに歩いてるみんなの心をやさしくしてくれる。

だから、光は闇に勝てる…のかもしれない。

7/8/2023, 10:36:36 AM