僕は見てしまった
1年後の今日の日に君が死んでしまう未来を
脂汗が額に浮かびぜぇぜぇとした荒れた呼吸を落ち着かせながら今見たことを思い返した
僕は確かに見たのだ
横断歩道の中に立つ君と伸ばされた手を
君の目は確かに僕を捉えていた
その手は僕に届かないまま宙に取り残されていた
今までこんな夢を見ることなんて一度だってなかった
僕に未来を見ることができるなんて特別な力などなかった筈だ
これは僕の妄想なのだろうか
それでもあんなリアルな感覚がただの夢であるとは考えられない
頭の中にこびりついて離れないひどくおぞましい光景
視界は赤に染まる
バラバラになっていく君の身体
仮にもしこれが本当にこれから起きることだったとして
僕には一体何ができるんだろう
これから君と会ってどんな顔をすればいいんだろう
身体をうまく動かせないままでいると
ふと君の泣き笑顔が頭に浮かんだ
僕には耐えられないのだろう
君が僕の前からいなくなることに
君のいない世界を生きることに
君がいなければ僕に明日はない
僕は白い壁で囲まれたこの殺風景な空間に独り
6/24/2023, 1:48:28 PM