イオリ

Open App

愛言葉

距離と時間。重なる感覚が増えてきた。そういう実感がある。おそらく相手も。

想いはこちらから告げよう。男らしく。そう決めていた。



並んで駅へ向かう。

秋晴れの夕方の街。少しひんやりとした空気が愁いを誘う。途中にある、公園の中に入っていった。赤と黄色に染まった木々が風に揺れ、落ち葉が舞っていた。季節は確実に次に進んでいる。

僕らも……。


小さな噴水の前で、僕は彼女の手を取って引き止めた。訝ってこちらを見た彼女に、僕はキスした。

目を丸くして固まる彼女。僕も同じように固まっていた。1秒、いや10秒?それさえもわからない。

鼓動が胸を叩く。暴れる振動が、脳機能を再開させた。

勇気を出して口を開いた。

『と、時は動き出す』。

そう言ってジョジョ好きの彼女の手を引いて再び歩きだした。

く、口から心臓が飛び出そうだ。僕の顔からはいま、確実に火が出ている。


ねぇねぇ。今のどっち?

どっちとは?

ディオ?承太郎?

ディ、ディオ。

へえ。そうなんだ。

で?

で?っとは?

答えは?

その前にさ、今のは私に告白したってことでいいのかな?

うん。

ややこしい。やり方が。

うっ。

しかもちょっと噛んでたし。

うっ。

恐る恐る振り向いてみた。

『やれやれだぜ』

秋の黄昏の中、満面の笑みを浮かべて彼女が答えた。



10/27/2024, 12:49:27 AM