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満点の星空を仰いだ彼女の、その珍しい角度からの顔を眺めていた。そんなに顎を上げているところはみたことがなかったから、彼女が景色に夢中なのをいいことに存分に見つめておくことにする。彼女の瞳は小さくてまばゆい月光のかけらをひとつ宿していた。艷やかな黒髪の房のひとつが、姿勢が変わってからワンテンポずれてゆっくりと曲がり、やがてふいにつるりと肩から滑り落ちて背中にかかった。きっと触るととてもしなやかで柔らかいのだろう。「ねえ、すごいね、こんなきれいな星空はじめて見たかも。」「……そうだね。」

7/6/2023, 10:15:52 AM