「真夜中の恋物語」
遥か昔、ここにはそれはそれは切ない恋がありました
幾千年を経て今も生き続けている桜の木の下で繋ぎ紡いで
青年は詩(うた)を捧ぐ、焦がれ狂う気持ちを抱きしめるよに
舞い散る花びらの中に立ちうつ向く着物姿の少女へ
あの月さえ羨むほど君は綺麗だ 光が流れる髪も潤う瞳も細い指も
抱きしめたら壊してしまいそうなくらい君が好きだ
だから今は傍でこの詩を贈るよ 君に溺れていく哀れな詩を
広がる景色も変わる季節も、君の前では飾りでしかない
あの星さえ霞むほど君は綺麗だ 振り返る笑みも柔い声も白い肌も
触れてしまえば消えてしまいそうなくらい僕は弱い
だから今は隣でこの詩を書くよ 君に墜ちていく惨めな詩を
明日、君は行ってしまうから せめて言葉を贈ろう
月も星も夜空に舞い散る花びらも君を美しく魅せる飾りさ
気が狂いそうなくらい君に焦がれてる
だから今は願うよ 来世までこの詩が届きますように
幾千年を経て今も生き続けている桜の木の下で繋ぎ紡いだ恋の詩を…
5/18/2023, 11:17:01 AM