金木犀

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 遠い日の記憶

 家路を辿る夏の夕暮れ。雨上がりの匂い。どこか寂しい気がして、私はため息をつく。空の青も雲の白も少しだけ赤らんで、感傷的な雰囲気を醸していた。
 大丈夫。そう自分に言い聞かせ前を向く。振り返らないと決めたんだ。遠い日の記憶に「青春」と名前をつけて、心の奥にしまい込む。

7/18/2024, 10:00:29 AM