伊吹@誤字多め

Open App

「夢じゃない」

「どーしたの、そんな顔して」
そういう、無邪気ながらも少し不安げな顔が
僕の見ている景色を埋め尽くした。
その日はどうしようもないほどの夏で、
北関東の方では40度が出る予報もされていた。
右手で額の汗を拭う。喉の奥の方にひりひりと
名前のない痛みを覚えた。曇りであるというのに、
ここまで暑いというのは、
最近噂の「異常気象」というやつが原因だろうか。
道端のたんぽぽもぐったりとしていた。
相変わらず、君の喋り方にはやる気がなかった。
いつも無気力だった。
声のトーンもあまり変わっているように聞こえない。
だけど今は、それどころじゃない。
何処までが夢で、何処までが現実か。
そこにいるのはちゃんと「君」なのか。
あの日僕の前にいた「君」なのか。
あの日少し笑えない冗談を言った「君」なのか。
君はよく、冗談をいう人だったと思い出す。
貴方は本当に僕の考えているその「君」なのか。
それが僕にはまるで分からなかった。
とっさ下を向いた。視線の行き先に困ったような
気がしたから。君の方を、
見てはいけないような気がしたから。いや、
僕の心がその顔を、少し拒んでいたから?
アスファルトに残る水溜りは僕に無感情に空模様を
伝えたけれど、今が曇りだということはこの
嫌な暑さと空気感だけで分かったし、僕の心に残る
この濁った気持ちの正体を教えてはくれなかった。
「ぁ…ごめん」
君との会話の感覚が、ちゃんと脳に刻まれていく。
あの日の"嫌な記憶"もしっかりと入れ墨のように
残っているというのに。
その瞬間、今出したその声を僕が本当に出したのか
何故か不安になってくる。
「なんで、そんな顔してるの」
君に不安が伝染するように、君も少し口角を下げた。
「……ねぇ、これって…夢、かな?」
こんなときにも君に頼りたがる僕が僕は大嫌いだ。
けれど、いつしか君は僕に「頼って」って言った。
だから、僕は君を信じて聞いてみるよ。
「夢じゃないよ。」
そう笑う君が、僕は好きだった。

───
↓過去編みたいな?

「…ね゙ぇ゙っ……!なんでっ……なんでだよ……!!」
薬品臭と僕を苦しめたがっているような静寂が漂う
その部屋に、君はいなかった。
ここまで大声を出したのは多分初めてだった。
君がこの世界に色を付けたのに、
その世界を君自身が黒色で塗り潰したような
感覚だった。これが、恋なのだろうか?
その部屋、ベッドに、
君の見た目をした"何か"がいたけれど、
それが君ではないことは本能的に理解した。
口元についている機械が白く濁ることはなく、
多分心拍数の波を表すであろう機械も、
揺るぎない直線を描いている。
親族は虚空を見上げて泣いている。
彼女の友達とみられる複数人の女子も、
声を上げたがっていたけれど、出してはいなかった。
「……っ」
その肌はいつもより白いように見えた。
今すぐにでも声を出して、それを冗談だと
言ってほしかった。


ーーー
なんか駄作
まとまりがないっていうか……
中途半端なので続き書くかもしれない
夏休みの宿題やばい

8/9/2025, 3:10:21 AM