【鋭い眼差し】
「ご機嫌よう」
背後から突然声が掛かる。気配も感じなかった。しかも、今の行動を見られたら不味いと道具を引っ込めて振り向く。
「こ、こんにちは」
うわ、マジかよ。巫女さんじゃんと冷や汗をかく。今やろうとしていたのは祠の破壊。理由はバズりたいから。ニコニコとしていた巫女さんの目が開く。口元だけが笑っている冷たくて鋭い眼差し。俺は数歩後ずさる。コツン。何かにぶつかった。そして、かなりの音を立てて崩壊した音がした。あ、これは…。
「祠、壊せてよかったですね。どんな末路を迎えるのか。楽しみにしていますよ」
背を向けた巫女さんに待ってと声を上げたかったが声が出ない。突然苦しくなってもがく。音だけは届いたのか最期に巫女さんは顔を向けて言った。
「お可愛そうに。ふふふっ」
この性悪巫女がっ!と声が出ずとも悪態をついたが俺という存在はナニカによって消されていくのだった。意識が闇に溶ける。もう戻れないと感覚で理解しながら何も出来ずに消えていくのだった。
10/15/2024, 10:58:39 AM