夜の海が好きだ。夜に目を瞑りながら当たる海の風がなによりも心地良い。
家にも学校にも居場所を感じず、居心地の悪いこの世界で唯一落ち着く場所が夜の海だった。
そんなどこにも居場所を感じなかった俺が、世界で一番落ち着く場所で、世界で一番落ち着く人に出会って、居場所を感じることができるようになるなんて思いもしてなかったんだ。
第一章 消えたい
「はあ、どうしてこんなにも消えたいんだろう、、、、」
〝消えたい〟その感情がどんな時でもある。そんな俺の気持ちに寄り添ってくれるような夜の海が好きだ。
家では愛されているはずなのに、自分の居場所がないと感じてしまう。
「るーちゃんは良い子だねニコッ」
「ありがとうママ!」
そう。俺には弟がいる。弟に対しての態度はいつも優しい。
「冬夜!早くお風呂入っちゃいなさい!」
「うん。分かった。」
もちろん愛されてはいる。ご飯も作ってくれるし、旅行にも行ったりもした。
だけど、弟の琉生が生まれる前はもっと優しかったはずだった。
「とーくんは可愛いね〜ニコッ」
なのに、今は弟ばかり目を付けられて、愛されているはずなのに〝愛〟を感じれない。もっと同じように接して欲しい。態度の違いを感じてしまってしんどい。
学校では友達と些細なことで喧嘩し、友達の方が人気だからクラスなどでハブられている。
「冬夜ってちょっとしたことで怒るよな〜w」
「は?なんそれ。なんか悪いん?」
「そういうとこだって!」
「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないん?」
「ちょっと言っただけじゃん。」
「いちいち余計なこと言わんといて。」
「なにお前。笑うざっ。」
クラスでは
「冬夜ってすぐ怒ると思う人いない?笑」
「私もちょっと思ってた〜!」
「俺も!」
「なんだみんな思ってたんか笑」
こんな感じだ。最近では特に家での居場所を感じれない。
「冬夜!この前テスト返ってきたでしょう!見せなさい!」
「はい。」
「国語が70点、、、80は取れるように頑張りなさい。」
でも最近は努力している方なんだ。
「るーちゃんはもっと愛想がいいのにどうして冬夜は愛想がよくないのかしら。」
「ごめん笑琉生の方が可愛いよな笑」
「もうちょっと愛想よくできないの?笑ったりとかさニコッ」
「俺母さんみたいな笑顔好きだな〜笑」
「それはありがとう笑」
「うんニコッ」
「できるじゃない!笑顔の方がとーくんは可愛いんだからニコッ」
「とーくんって呼び方久しぶり笑」
「なによ〜とーくんって呼んでほしいの?」
「いや別にそういうわけではないけど。笑」
笑ったほうが良いとは分かってる。でもあんまり笑えない。
こんな自分が嫌いだ。
そんな気持ちを少しでも軽くするために夜の海へ行く。
いつものように目を瞑って風に身を任せていると誰かから声をかけられた。
「気持ちよさそうだね笑」
「ん?だれ?」
「こんばんは笑冬夜くんだよね?」
「うん。君は?」
「夜川 天弥だよ笑」
「天弥ってなんか聞いたことあんなぁ笑」
「3組だよ!」
「隣やんけ笑」
「なんて呼べばいい?」
「冬夜でもいいしなんでもいいよ呼び方なんて笑」
「じゃあ冬夜って呼ぶな!俺のこともなんて呼んでもいいよ!」
「じゃあ夜川で。」
「なんで名字なの?笑名前で呼んでよ!」
「夜入ってるから夜川でいいかなと思っただけやし笑じゃあ天弥って呼ぶ?」
「夜好きなの?」
「夜も好きだけど夜の海が好き。唯一落ち着ける場所なんだ笑」
「なんか冬夜って儚い感じがするなぁ。近くにいると落ち着く笑」
「海でゆらゆら漂いたいよな」
「性格すごいよさそう。」
「良くないよ笑」
「悩みでもあるの?」
「うーんないかな笑」
「ありそうな感じするな〜」
「ないし笑」
「過去になにかあったりするの?」
「っ、、、!なんもないよ笑」
「なんかありそう笑なにがあったの?」
「ほんとになんもないから。」
一旦切ります!後でまた書くので気になった方がいたら見てください!
8/16/2024, 7:30:35 AM