[優しくしないで]
私は白津雪。
本を読むのが大好きだ。
だから毎日放課になると授業が始まるギリギリまで本を読む。
だから友達には"読書ちゃん"なんて、あだ名を付けられている。ちょっとダサいと思うけど言わない。
でも私の隣の席の子は陽キャでいつも私の席の近くで騒いでいる。
正直迷惑だ。
でも私は勇気がないから
「静かにして欲しい」
なんて一言も言えないのだ。
その日もいつも通り自分の席で本を読んでいると、
友達が話しかけて来た。
「やっほー読書ちゃん!今日も本読んでるんだね!今日はなんの本?」
と聞いてきた。
この子は黒崎瑠奈、私の唯一の親友だ。
「今日は太宰治の本だよ。」
「太宰治って誰だっけ?」
「歴史の授業で習ったでしょ?」
「そうだっけ?覚えてなーい!」
「どうせまた寝てたんでしょ」
「うぐっ、正解です…」
なんて他愛もない話をしていた。
そしたら隣の席の陽キャが
「おい、うるせぇぞ、静かにしろよ」
なんて言ってきた。
陽キャの名前は霧矢慎二。
いつも陽キャの中心にいる。
授業中はいつも友達と話していてまともに授業も受けない。
私はそんな霧矢君が苦手だ。
でもそんな私が霧矢君に恋をした。
その理由は…
――とある日私は学校の図書館に本を借りに行っていた。
私は床から剥がれた板に躓いて転んだ。
「きゃっ!」
私はその時反射的に本棚に手を置いてしまった。
その時上に置いてあった本が落ちてきた。
私は怖くて目を瞑った。
その時…
ガンッ!ガラガラ
(あれ…痛くない…)
私は目を開けた。
そしたら、
「いってぇ…」
(えっ、霧矢君…?)
「おい、大丈夫かよ」
「えっ、あ、うん。ありがとう…」
「おう、てかこれ危ないから早く直して貰わないとな。」
「あ、うん。そうだね」
「おう、怪我がなくて良かった」
――――
そんな事があってからか私はその日から霧矢君が気になって仕方ない。
「〜〜って、ねぇ!」
「えっ」
「どうしたの読書ちゃん!さっきからぼーっとして」
「ん?ううん、なんでもないよ」
「そー?」
「うん。」
「ならいいけど、」
「てかもう少しで授業始まるよ」
「うそ?!なんも用意してない!」
「早くしてきなよ」
「うん!」
バタバタ
ほんと、慌ただしいんだから。
「おい」
「えっなに?霧矢君」
「いや…なんでもねぇ」
「そう…?」
「おう」
なんだったんだろう。
――――
「白津」
「なぁ白津」
「おい、白津」
何故か霧矢君によく呼ばれるようになった。
「おい、おすすめの本どれだ」
「ん〜、この本とか面白いよ、1回読んで見たら?」
「おう」
私はこうやって霧矢君と話してるのが辛い。
だって私は霧矢君が好きだから。
「やっぱ白津は本に詳しいな笑」
ニコッ
ああ、その笑顔…
私に見せないで欲しい…
勘違いしてしまうから。
お願い…
優しくしないで…
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これでいいのか不安笑
気に入ってくれたら嬉しいです。
5/2/2024, 12:02:31 PM