自分の翼は不要だ。
   きみなら軽々と飛び越えていくような僕の悩みを、僕は打ち明けた。
    するときみは言ったんだ。
    「そんなことないさ。
    世の中では勝ち組や負け組といった、人の人生を人が見て、良い人生か判断する節がある。
    人々は翼を欲し、また飛び立とうと必死になる。
    人々は己の限界を知り、また懸命に生きる。
    人々は翼が折れて飛べなくなった時、
    自分はだめだ、もうできない、
    無理だ。
    と悪い方向へ飛んでいき、最終的に獲物にされる。
    誰だって一度は通る道さ。そんなに心配しなくていい。
    でも人間は弱い。
    それを隠したがって、自分の弱さを見せたくない、強さを示したい、見られたくない、と思うのは当然だろうと思うよ。
    僕が個人的に思う大事なことは、
    飛べない翼であっても何かを大切にしていく事。
    本当に些細なことでいい。
    飛べなくとも今日こそは早起きする。
    飛べなくとも毎日読書の時間をつくる。
    飛べなくとも自分が頑張ったら褒める。
    飛べないから毎日世界平和を願う、とかなんて、大変だし、疲れてしまうよ。
    だから僕は今こうやって、ね。
    飛べない翼を持つけれど、人の心に寄り添おうとしたんだ。
    きみも、不要だと思っても、別に無くても、できることは沢山あるよ。
    自分を信じて。自分に気づいて。
    自分は何ができる?
    …それじゃ、僕はこれで。
    ありがとう。」
_2023.11.11「飛べない翼」
11/11/2023, 2:40:34 PM