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真夜中

私は、よく真夜中に家を抜け出す。
親から勉強を強いられる毎日、
それが嫌いだった。
真夜中、公園に行くと、必ず[彼]がいる。
[彼]は、自分の名前は決して言わなかった。
[彼]は、私と同じような境遇にいた。
親からの罵倒。テストの点で変える態度。
暴力。
でも、[彼]と一緒に話すと心がすっきりする。[彼]と一緒にいると、親なんて気にしないで済む。
[彼]は優しかった。

それから7年がたった。
久しぶりに地元に帰り、親の墓参りをした。
そして、真夜中。
公園に行っても、[彼]は、いなかった。

どうして?

「もう[僕]はいらないでしょ。」
[彼]の声。一時たりとも忘れたことはない。

「君は、いや、[僕ら]は、もう一人じゃない。」「!」僕ら…?

「新しい親友が出来た。彼氏も出来た。」
「もう一人じゃなくなった。」
なんで…
「…[僕ら]は、二人で一人だろ?」
「あなたは、誰なの…」私が言うと、
[彼]は半泣きで言った。
「僕は、君。君の寂しさから生まれた。
……からっぽの、友達。」

「真夜中が怖かった。親からの罵倒があるから。」そう、[彼]は言う。

「真夜中が楽しみだった。彼がいるから…」
そう、私が言う。

「でも、もう僕はいらないね。」
「バイバイ」


真夜中。
彼を思い出す。

5/17/2024, 11:39:48 PM