ここはどこなのだろう
朦朧とした意識の中
美しい君だけが見えた
君は僕の腕を引っ張り
「行こう」
と鈴のような声で囁く
僕は何も考えずに手を引っ張られてゆく
どのくらいだったのだろう
辺りは暗く青く
まるで洞窟のようなトンネルのようなとにかく迫力のあるところだった
奥には光がみえる
「あそこだよ」
ときみは言う
この暗闇を抜けて
見たことのあるようなないような、どこか懐かしい街へたどり着いた
「私が住んでいる街だよ」
と君が言った瞬間
僕は目を覚ました
夢だったのか
少し憂鬱になりながら
歩く
夏
蝉は鳴き
涼しい風が僕を押しのけるようにふく
その柔らかい雰囲気の中
僕だけが憂鬱だ
今日はあの街へ行かないといけない
嫌いでは無いのだが
あそこの空気が嫌だった
僕を哀れんでいるような
包み込んでくれるかのような
そんな空気が嫌だった
そしてまた僕は歩くあの街へ向かって
#4
1/28/2024, 10:17:30 AM