陽の差し込む部屋の一角に座って、外の世界を眺める。カーテンはなく、網戸は全開。何も遮るものがない視界いっぱいの緑。広い庭に、のびのび伸びた草。大きな木が二本。
古い家の湿っぽいニオイと土の香り。
聞こえるのは、風でそよぐ葉のさらさら鳴る音、蝉のとウグイスの鳴き声。鳴くのが下手なウグイスもいたっけな。
それだけ。
テレビもなければ、ゲームもない。時計もない。
でもこれがたまらなく好き。
毎年、なにもない田舎の家で過ごすたったの数日間が、わたしのこの人生のなかでもっとも満ち足りてた瞬間であっただろう。
この命の最後の瞬間、目の裏に浮かぶ景色はこれがいい。
《きらめき》
9/4/2023, 1:11:28 PM