金も無くて何もかもが上手くいかない、人生のドン底の寒い冬。
空は鉛の様な薄暗い曇天の朝。
しょぼくれて、下向きながら歩いた駅までの道のり。
前の晩に飲んだヤケ酒で酷い二日酔い。
向かい風が骨に沁みて、本当に辛く仕事に行きたくなかった。
ふと、立ち寄ったコンビニで淹れたてコーヒーを買った。
そのコーヒーを大事そうに両手で持ち、一口すすったら、
無意識に『あっったけ~』と吐息混じりに声が出て。
ふと涙が滲んできた。
ふんわりと湯気をたて、良い香りのブラックコーヒーは、とても苦く美味しくて、温かく、本当にゆっくり心と身体に沁み渡った。
あれから時は流れて…
環境が変わり、有難いことに色々と幸せだと思う。
今でも冬になると、思い出す奇跡の一杯。
11/17/2024, 3:25:08 PM