小説が好きな人

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これは、私と彼が出会った時の話です。
私は、本を読むのが好きでよく図書館に本を借りに
来ていました。
 ある日、午後から図書館に行き、気になっていた本を借りようとして、探していたら本棚の一番上で届かないところに、ありました。身長の低い私にとってみれば、かなり無理なことです。(はー…なんで高い場所にあるの?これじゃあ届かないじゃん…あきらめるしかないか)そう思った時、
「はい。これ。」
隣から声が聞こえてきたと、同時に、本が差し出されてきた。
「えっ…?」思わず声を出していた。すると、彼は
「あっ…もしかして、違いましたか?それだったらすみません!」
と、謝ってきた。
「あっ…あのっ…本、とっていただいてありがとうございます」
自然と、お礼の言葉がでてきた。
「いえ。なんか、困っているように見えて…」
そこからだった。
私と彼がよく会うようになったのは…
図書館に行くと、彼がよくいた。
私は、彼を見つけると駆け寄って本の話をよくするようになった。

ある日、私が好きで持っていた本を彼に読んでほしいと思い、その本を持って図書館に行った。
いつもと同じく、彼は図書館にいた。
だが、いつもと違うところがあった。
彼も、本を持っていたことだ。
私はいつも通り駆け寄り、話を持ち出した。
「あのっ。何の本を持っているんですか?」
「ん?あぁ…これですか?貴方に読んでほしいと思って…」
彼がそう言って差し出してきた本は…
「何度生まれ変わっても、君に会いに行く」
私が持ってきた本と同じ名前の本だった。
「あの…私も本…持ってきたんですけど…」
そう言って私も本を差し出した。
「あっ!同じ本ですね」
そう言ってニッコリ笑ってみせた。私は初めて彼の
笑っている顔を見た。
「あのー…この本貸したら言おうと思っていたんですけど…」
「?何ですか?」
私がそう言うと、彼はほを赤めて小さいけど、よく聞こえる声で、
「前から、気になっていて…それで、困っていたみたから、助けたんです…えっと、つまり…」
そこで、言葉が区切れた。
「…僕と付き合ってください…」
「えっ…」
初めて告白されたかもしれない。少し固まっていると、急に彼が慌てだした。
「…!あっ…あのっ…ごめんなさい!急にこんなこと言って…!混乱しますよねっ!」
どうして、謝られているのか分からなかった。
でも、次の瞬間謝られている理由が分かった。
泣いていたのだ。
「本当にごめんなさい!」
「謝らないでください」
私は、そう言っていた。
「でも…」
彼はまだ何か言いたげな顔をしていたが、私の言葉を待っていてくれた。
私は泣きながらも、彼にめいいっぱい笑ってみせた。
「…!」
「私、告白されたの初めてで…どうしたらいいか分からないんですけど…私、貴方となら付き合いたいです。」
「…!…ありがとう。これから大事にしていくね」


それから3年後…
私達はあの日から、ずっと付き合っている。
再来年には、結婚する予定でいる。
これは、あの本のおかげだと思う。
お互いに好きな本が同じだったから、付き合えたのかもしれない。少なくとも私はそう思ってる。
「何度生まれ変わっても君に会いに行く」
これは、私…いや、私達の大切で好きな本が繋いでくれた、運命。

6/15/2022, 2:23:09 PM