「ねえ、知ってる?」
少し前を歩く君がおもむろに振り返り、問いかけてくる。
「ピンクのコスモスの花言葉って『純潔』なんだって」
「!そうなんですか?」
「うん」
俺が驚くと予想通り得意げにふふんと鼻を鳴らす。
…俺は知ってる。
「さすがですね!僕が知らないことなんでも知ってる」
昨日、君がこの為にわざわざ花言葉を調べていたことを。
「でしょー?」
君が、俺の為にわざわざ花言葉を調べていたことを。
「君にピッタリだと思って!」
「…え?」
俺が動揺しても構わず楽しそうに笑う君。
「純潔、って感じするよね!」
「…なんですか、それ」
はは、と乾いた笑いがもれる。
--君は、知っているのだろうか。
黄色のコスモスの花言葉は、『幼い恋心』らしい。
--君は困ってしまうだろうか。
君の好きな『幼く可愛い純潔な僕』からこの黄色い花を渡されたら、
(君は、あの男とではなく、俺と結ばれてくれるのだろうか)
9/27/2022, 3:38:22 AM