金木犀

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  夢をみてたい

 夢を見ていたんだと思う。
 君といた時間を、私はぽつぽつと思い出す。一つまた一つと溢れて止まない日々の記憶が、どうしようもない私を責めるように胸に突き刺さる。
 ああすればよかった。こうすればよかった。なんて、どんな選択をしたところで後悔するのに。それでも君を思い出してしまう。思い出せば思い出すほどに忘れられなくて、後悔して、苦しいのに。
 突き刺さった記憶が静かに溶けだして、それが涙となって流れていく。
 溢れないで、涙。
 まだ忘れたくないから。

——まだ、夢を見ていたいから。

 

1/13/2024, 4:00:12 PM