「もう絶対当たる占い師がいるの!!行ってみて!!」
ミーハーな友人がそう絶賛していた。胡散臭いとかもはや今更言いたくもない。なんとか効果って知らんのか、ほらあれだよ、占いは誰にでも当てはまるようなことを言う的な、あれ。と言いたかったけど肝心な単語が思い出せなくてやめた。思い出す労力さえ無駄に思えた。当然行きたくなかったのだが、延々とうるさいし今後もなにかと言ってきそうだししまいには当てられるのが怖いんでしょとか言い出す。ここはもう言う通り行って実際に占いなぞインチキだと証明するしか無くなった。もう人生変わるから!だそう、もう占いでもないだろ。
「…では恋愛運を見てください。」
「わかりました。そうですね、まずあなたの過去の恋愛の傾向は」
「あ、もう結構です。あなたがデタラメな占い師なことはわかりましたから。
私は恋愛なんてしたことがありませんので」
「恋愛はしたことがない。果たして本当にそうですか?あなたのなかで、1つだけ引っかかるものがありませんか?それはいわゆる恋愛感情までは満たないかもしれない、むしろそれ以上、愛、なんて軽い言葉で表せない強い感情を抱いた人がたった1人、いるんじゃないですか?見えますよ、あなたのなかにたった一筋の、でも確かな芯のある光が」
私は目を細めた。思い浮かぶ顔がある。
恋愛なんてくだらない。軽い気持ちで付き合ってすぐ別れて、そんなことを繰り返す人々を薄ら馬鹿にし、自分は違うんだと心のどこかで思っていた。そんなんじゃない、そんな軽々しく開示して消費していい想いじゃない。そう無意識に言い訳してなにも行動にうつさなかった自分を、最大限良いように表現されてしまった。ただそれだけだ。それを鵜呑みにするほど廃れてない。
「…確かに、そう聞くと誰にでも当てはまりそうな話ですね。特に恋愛なんかしてこなかったと口にする人には。」
占いは誰にでも当てはまることを言う、なんとか効果。あれから結局名前も調べなかった。
「おかげで目が覚めました、ありがとうございます。」
席を立って後にする。まさか占い師にお礼を言うことになるとは。
みんなそう思っている。自分は特別だと。自分だけは違うと。この愛は本物だって、愛とはそもそもそういうものだから、愛する、それ故に。
あえて優劣をつけるなら行動した人のが思いは強いだろう、とか良く考えなくても当たり前なことを思った。
メッセージアプリを開く。トーク欄を何回もスクロールして下の方に出てくる。最後に連絡したのは5年ほど前。これで連絡したらミイラ取りがミイラも良いとこじゃないか、笑えない。でもこのままなにもしないでいるのも無性に嫌。自分は結局小心者なんだってそれはそれでがっかりだ。もうこれ以上自分に幻滅したくたい。さて、どうしようか。
10/9/2025, 3:12:10 AM