みこと

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神様へ。
願いが叶うのなら、菜々香の病気を直してあげてください。とても苦しんでいるんです、ずっとずっと。僕はどうなってもいいです。だから、菜々香を元気にしてください。どうか、どうかお願いします。

「ほんとに、完治したんですよね?」
「はい。私たちも驚きました。よかったです。学校生活にも支障は無くなるでしょう。」
「やった、ありがとうございました!!」
私は病院を出た。青空と風が気持ちいい。
「あ、春輝のところ行こ、心配してくれてたし」
病院から出たその足で春輝の家に向かう。春輝の家の大きな門の呼び鈴を押した。
『はい、どなたでしょうか?』
「おばさん、私、菜々香です。橘菜々香。」
『あら、菜々香ちゃん、いらっしゃい。今開けるね。』
家から出てきたおばさんは、やけに疲れていて、苦しそうだった。
「菜々香ちゃん、元気になったのね。」
「はい!病気が突然完治して。普通に生活できるようになったんです。」
「よかったわ。菜々香ちゃんのこと、すごく心配だったの。」
「ありがとうございます!」
「ところで、今日はどうしたの?」
「春輝に逢いに来たんです。顔が見たくて。」
私がそう言った瞬間、おばさんは泣き始めた。
「おば、さん?どうしたの?」
「な、ななか、ちゃん。ごめんね。」
「え?何がですか?」
「春輝、は。もういないの。」
「え?」
「春輝は、もう、死んだの。」
頭を殴られるような衝撃。どうして、が頭を埋め尽くす。春輝、なんで、なんで?

呆然としたまま、春輝の家を出た。苦しくて、悲しくて堪らなかった。なんで、なんで?
神様へ
春輝が死んだなんて、嘘って言ってよ…なんで?なんでなの?春輝と、一緒に、笑いたかった。なんで…?ねぇ。

4/15/2024, 9:11:35 AM