夜も更け始めてきた頃、俺はコンビニで買ったおにぎりを軽く食べて、ベランダへ出た。
煙草の箱から2本取って、ライターで火をつける。
煙草を吸って、天を仰ぐように大きく見上げた。綺麗だ。
金色の金平糖のような小さい小さい星が無数に散らばっていた。
今まで気づかなかったことがアホみたいに「美しい」。
働いた会社のド畜生の上司、全く言うことを聞かない後輩、暴力当たり前の先輩。
こいつらがどす黒く感じてくる。心の奥底から湧き上がってくるように金色に鮮やかに輝く星々。
どんなに離れているんだろ、何百光年も、何千光年も離れているのかも。
そういや思い出した。子供の頃、月が星の王様だと思っていた。
星の何倍もでかい月は星を従えている国王みたいなやつだとな
今、俺は現実社会ではひとつの星に過ぎない。
もっとでかい奴らもちっちゃいやつらもわんさか湧いてくる。
それがこの世なんだろう。
煙草を吸い上げると、ひたすら心に込み上げてくる。
「理想」
この2文字。
7/6/2024, 3:54:21 AM